北名古屋モデルハウス
河合工務店が建築家・田辺真明氏と共につくった
細長い敷地を活かした中庭のある奥行き感の際立った平屋28坪のモデルハウスです。
河合工務店 北名古屋モデルハウス(設計:田辺真明建築設計事務所 施工:河合工務店)
【基本情報】
敷地面積:215.41㎡ (65.17坪)
建築面積:97.30㎡ (29.43坪)
1F床面積:91.85㎡ (27.78坪)※法定延床面積
Ua値:0.34W/㎡K 断熱等性能等級6
C値:0.3㎠/㎡
耐震基準:3(許容応力度計算による)
所在地:愛知県北名古屋市熊之庄
モデルハウスの設計について
モデルハウスを建築するにあたり、設計を依頼した建築家・田辺真明氏。どのように土地と向き合い、その周辺環境や自然環境を取り込み、様々な制約を乗り越え設計したのでしょうか。
周辺環境から土地の記憶を読み解く
北名古屋モデルハウスは、昔ながらの長屋門を有した家や寺社など歴史的な風情が残る閑静な住宅街のなかに建っています。間口7m・奥行き30mの細長い敷地形状が特徴で、東西に隣地境界線近くに隣家が立ち並び採光条件が限られているため、日照の確保がむずかしいというデメリットを持っていました。土地の広さを活かしつつ、プライバシーも守るまた、土地は東西に長くきれいな矩形でない変形敷地のため建物の配置計画についても悩みどころが多い土地でした。
これらの不利な条件の中、河合工務店の要望を受け設計に挑んだのが、建築家の田辺真明氏でした。
河合工務店の要望
この敷地条件の中、河合工務店のモデルハウスとしての要望は下記の3点でした。
- ON/OFFの切り替えができるホテルライクな非日常感のある家がいい。
- 数字はコンパクトでも明るさを感じられる開放的な空間にして欲しい
- 平屋を基調としたプライバシーは守りつつ、外部とつながれる空間が欲しい。
田辺真明氏の解決策
不利な条件とモデルハウスの要望を同時に解決するアイデアが「modern長屋」でした。
【建築家のコンセプト】
計画地は、古くからある住宅地の一角にあり、周りには立派な長屋門を構えるお屋敷や、お寺がいくつもある周辺環境で、前面道路は狭く、人通りも少ないことから、プライバシーへの配慮はそこまで気にしなくてよい反面、間口は狭く、南北に極端に細長い典型的な長屋敷地で、ロケーションも全く望めなかった。
長屋建築における「通り土間」や「中庭」を踏襲しつつも、駐車場や外部ポーチ部分の「たまり」を配置するため、建物をセットバックして計画した。また生活様式の変化から土間(本来ならLDKのch2400部分~廊下辺りまで)は廃止し、現代の生活スタイルにあわせた 「modern長屋」として計画した。
建物内部の計画としては、外部から居間、居間から寝間(ネマ)へと段階的ににプライバシーを高めていく構成にあり、その間に土間を配すことで、それぞれを遮断するのではなく、自然な繋がりを持たせた上でのプライベート空間として連続させた。
また、中庭への採光から寄棟の屋根形状とし、太陽光パネルの積載に配慮するため、棟部をずらしたことで、不等辺三角形を形成し特徴的なファサードとした。
モデルハウスの見どころ
①「つなぐ」ニワ:アウトリビングとしての軒下テラス
通常、庭というと土や緑で覆われた外部空間ですが、古民家の土間などを昔は「ニワ」と呼んでいたようです。この家にも2つの土間空間(=ニワ)を配置しています。ひとつはポーチを兼ねた玄関軒下部分の「ニワ」で、こちらはリビングの延長として、アウトドア家具を設えることでリビングの掃き出し窓から行き来するアウトリビングとしても機能します。4.5畳の大きさでポーチとしてはゆとりのある大きさの中間領域で暮らしを“つなぐ”空間となっています。
②「はなす」ニワ:無目的な中庭空間
もうひとつは“つなぐ”とは反対の“はなす”ニワです。細長い敷地形状に対して条件を受け入れる形で、前面にみんなで集まる「パブリック」な空間、後方には水まわりや居室を有する「プライベート」な空間を配置しています。2つの異なる空間の間に無目的な「ニワ」があることで、パブリック/プライベートを行き来する際に、プライバシーは確保しつつ外とつながれる、あえて領域を切り“はなす”空間になっています。フローリング部分にはベンチを置いて、読書をする空間だったり、隣接する脱衣場、洗面まわりから湯上りのリラクゼーション空間だったり、多目的に切り替わる空間としています。モルタルを基調としながら屋外植栽計画の延長として、割栗石を敷き詰めている仕上げを室内まで取り込むことで外部との連続性を確保した非日常な空間に仕上がっています。
③寄棟屋根からなる軒のラインが際立ったファサード
平屋での計画のため屋根面積は大きくなるので、雨水処理を円滑にしかつ竪樋の位置をずらすことで、アイレベルから屋根の厚みを薄く見えるように、寄棟屋根の計画としました。また、寄棟屋根の計画とすることで、建物全体の最高高さも抑制されて軒のラインがきれいな落ち着いたファサードを形成しています。(ファサードとは建築立面の姿をあらわすときに、よく使われる言葉です。建物の顔つきのようなもので、街並みの中に新たに計画する家がどんな表情でそこに存在するか、建築家は考えます。)
④木質感のある勾配天井で高さを活かしたLDK空間
LDK空間は標準高さである天井高さ2.4mに屋根の傾きに合わせた勾配天井を組み合わせた最大高さ3.3mの開放感のある空間としています。また化粧梁の間にラワンベニヤを貼ることでLDK空間全体の連続性を強調した木質感のある空間に仕上がっています。ベースも勾配天井面をきれいに見せるために、ダウンライトを使わずブラケットライトとペンダントライトを組み合わせて落ち着きのある照明計画としています。
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