コラム

2023.05.26

家づくりアドバイザー小林 聖明のご紹介

家づくりアドバイザーの小林と申します。
私は小さな頃からものづくりが好きでした。高校生のときに見たドラマをきっかけに“建築家”という職業を知り、学校で建築を学びました。はじめての職は学生時代からバイトさせて頂いていた所長とスタッフの私と2人で住宅を中心とした小さな設計事務所でした。

設計事務所ってどんな仕事をしているか、みなさんご存知でしょうか?
ひとつの住宅を施主様に提案するときにも幾通りのプランを模索して、試行錯誤を繰り返します。その中でこれがベストだと思う案にたどり着くとそれを自信を持ってプレゼンを行います。晴れて案もまとまって設計が終わると、今度は“監理”という仕事が始まります。これは現場で設計したものがきちんと建ちあがっていくかを監督する仕事です。

まだまだ新米だった私はそこでまた別の仕事に出会います。それは“現場監督”です。
まだ建築士資格も持ってなかった新米設計士の私は図面を持って現場に挑みますと、大工さんやいろんな業者さんと打合せをするにつれてモノと技のすばらしさに触れることができました。よく現場監督さんからは「そんな漫画みたいな図面じゃわからんよ」というもののこちらがどんな思いで「こんなふうにつくりたい」を熱く語ると、それに答えるように私が知らない答えを提示してくれて、なんだかそのやりとりがとてもクリエイティブに思えたのです。いつしか、「つくる現場っていいな」って思うようになり、私は“現場監督”=施工の世界に転職することにしました。

次の会社は施工会社でした。
建築家とつくる家づくりをコンセプトに設計された図面をもとにどうやってつくっていくか、を考える完全に前の仕事と立場が逆転しました。新築現場やリフォーム現場に立ち会っていく中で“アフターメンテナンス”という業務に携わることで、家づくりに対しての考え方が徐々に変わっていきました。アフターメンテナンスとは建築物を引き渡した後に発生するメンテナンスや追加工事、さらに決まった年度ごとに訪問する“定期点検”といわれる仕事があります。そこで、お引渡しして1年のお家と10年以上経過したお家、さまざまな家のその後を見て、実際に施主様のご意見を聞いていくうちに、デザインの耐久性について考えるようになりました。間取りや外観、お気に入りのキッチンやアクセントクロス、造作家具それぞれ目に見える範囲のデザインは、施主様と建築家でこだわってつくったがゆえにその満足度は10年以上経過しても衰えることがないことを実感しました。しかし、目に見えない、住んでみてはじめて実感される、夏暑くて、冬寒い、窓の結露が気になるといった温熱性能のデザインは疎かになっていることがしばしばあり、とても残念に思いました。住宅のデザインとはあらゆる生活の問題解決の手段であるはずなのに、なぜか“見た目”だけにとらわれてしまっているように思います。住む人が快適に自分の家を誇りに思えるような家づくりにはありとあらゆる課題をクリアにデザインしていかなければならないと思います。

設計事務所時代の所長に、家づくりは料理に似ている、と言われたことがあります。
いくら素材がよくてもおいしくなくては意味がない。どんなに高級な料理でも食事の場に調和していなければ意味がない。
正しい予算感でもって、お客様がどんな食事をしたいのか。(肉料理であれば、牛なのか豚なのか鳥なのか、ボリューム感は満腹感を求めているのか、ヘルシーなものを求めているのか)あらゆる要求をお客様の発する言葉だけでなく深層心理まで掘り下げて、正しいレシピと調理で提供すること、それが正しい家づくりであると教えて頂きました。

私は今までに家づくりの“レシピ(設計)”と“調理(施工)”を経験して参りました。みなさんのおいしい家づくりをお手伝いさせて頂ければうれしいです。まずは、お話を聞かせてください。