コラム

2023.08.23

家の耐震性を確認!微動探査について

河合工務店では、新築住宅の耐震性能を確保するため、常時微動探査による調査を行っております。
(以下、微動探査とする)

微動探査とは、人が感じない僅かな揺れ「微動」を基に、地盤の揺れ方や特徴や硬さ、住宅の耐震性能を調べるものです。
家屋の耐震性能実測方法として、地盤と建物の「固有周期」実測と建物の「剛心」実測を行い、それらの結果から建物の耐震性能や地盤の種別を判断します。
対象となるのは、原則木造戸建て住宅の2階建て、3階建てです。

微動探査で住宅の耐震性能を機械で実測し、評価することで
・これから住む家の耐震性能
・大地震が起きても住み続けることができる家かどうか
・設計通りの施工ができているか
といったことが確認できます。

微動探査の計測方法やそのメリットについてご紹介いたします。

耐震性能を確保するための微動探査

微動探査とは・・・
地球は、道路交通や、海の波、川の流れ、工場などにより、人が感じない僅かな揺れ(微動)が常に発生しています。
その微動を基に、地盤の揺れ方や特徴や硬さ、住宅の耐震性能を調べるものです。
「 微動探査」の仕組み

家屋の耐震性能実測方法(微動探査による家屋調査)

微動探査に用いる機材
微動探査に用いる機材

※原則木造戸建て住宅2階建て、3階建てが主な対象となります。
① 地盤と建物の「固有周期」実測
2階建て住宅の場合、玄関先に1台、1階、2階のおおよそ中央部に各1台配置し計測を行います。
② 建物の「剛心」実測
2階のおおよそ四隅に1台ずつ、合計4台配置し計測を行います。
微動探査でわかること
【計測準備(10分)→①測定(20分)→②測定(20分)→撤収(10分)=合計60分】

※新築住宅にて調査する場合、弊社では施工中間時構造躯体が完成した時に
微動探査機を用い調査する。

数値による耐震性能確認

 

家屋の微動探査で分かること

【家屋の微動探査で分かることは3つ】
1⃣ 建物、地盤の固有周期(建物の耐震性能の確認、地盤種別の判断)
2⃣ 共振の可能性
3⃣ 建物のバランス(建物の重心、剛心)

1⃣ 建物、地盤の固有周期(建物の耐震性能の確認、地盤種別の判断)

計測結果から以下のような結果が分かる。

    1. 地盤の固有周期から地盤種別を判断

地盤の固有周期
地盤の固有周期
数値は0に近ければ近い方が良い、0が全く揺れていないとなる

    1. 建物の固有周期から耐震性能を評価

建物の固有周期
建物の固有周期
数値は0に近ければ近い方が良い、0が全く揺れていないとなる

    1. 地盤の卓越周期(固有周期)と耐震性能から地震時の建物の影響を想定

地盤の卓越周期
建物の固有周期が0.3未満であれば、どんな地盤であっても耐震性が高いランクは〇となる

 

固い地盤、軟弱な地盤どちらが良いかを選ぶのではなく対策をする

・固い地盤×地震
固い地盤は地震の力となる地震の加速度が地盤→表層地盤→建物へと、力が衰えず伝わりやすい。
その為、建物の重さと地震の加速度が合わさり、建物自体が受ける地震力というものは硬い地盤の方が小刻みに大きくなる。
そして固い地盤は、横揺れが小さい。

・軟弱地盤×地震
軟弱地盤は地震の加速度が衰退していき地盤→地盤表層→建物へと伝わる。
その為、建物の重さと地震の加速度が合わさっても、建物自体が受ける地震力というものは硬い地盤に比べると軟弱地盤の方が少ない。
だが軟弱地盤は、横揺れが大きい。
周期

つまり、ゆっくり大きく揺られるのが軟弱地盤であり
短い距離を、強く揺さぶられるのが固い地盤である。
硬い地盤、柔らかい地盤どちらにしても、
強く硬い丈夫な建物が必要であり耐震性能は高いに越したことがない。
よって耐震等級3は必要である。

2⃣ 共振の可能性を判断

地盤が持つ固有周期の中で、最も強く特徴が出ている周期を卓越周期と呼ぶが
この地盤の卓越周期と建物のもつ固有周期が一致した時、共鳴し大きい揺れにつながる。
建物が固い方が、建物の固有周期が小さくなり、地震により受けるエネルギーも小さくなる。
建物の固有周期と地盤の卓越周期を知ることで、共振の可能性を判断できる。
建物の固有周期
〇防災科学技術研究所の解析結果↓
解析結果

3⃣ 建物のバランス(建物の重心、剛心)

建物の重心:建物平面上状の中心
建物の剛心:建物の変形に対する抵抗の中心
剛心と重心が離れると、建物のバランスが悪いと言え地震などのエネルギーにより建物がねじれやすくなる。
構造計算で耐震等級3が取れる建物は、重心と剛心もきちんと計算される。
重心・剛心

重心、剛心を数値化し、建物のバランス、地震に影響を受ける場所を判断する。

重心剛心のバランス
重心と剛心の位置は比較的近い位置にあるため、耐力壁の配置バランスが良いと考えられます。

まとめ

住宅において耐震性能を高める方法として「構造計算(許容応力度計算)」
を用い、計算通りに施工し確認していました。
これまでは計算通りの施工がなされているかどうかの確認は、施工途中に目視等で行っておりました。
常時微動探査では、建物に調査機(微動計)を設置し、建物内に伝わってくる常時微動(人が感じないほどの僅かな揺れ)を確認することが出来ます。
それによって「建物の固有周期、重心、剛心」が分かり、耐震性能を評価することが出来ます。その他に「地盤の固有周期」も測ることができるため、建物の共振のリスクも想定することが出来ます。

気密測定のように、私たちは耐震性能も「計算」+「実測」が大事だと思っております。
気密測定が当たり前のように、耐震性能実測も当たり前になるべきだと思います。

河合工務店では全棟気密測定に加え、全棟 微動探査で実測することにしました。
お引渡し後、お客様が安心して住み続けられるように。

調査後解析は、国立研究開発法人防災科学技術研究所、監修は株式会社M‘s構造設計室様が行いレポートを施主様にお渡しします。

微動探査を監修いただいております株式会社M‘s構造設計室の佐藤実氏による「微動探査」の解説はYouTube【構造塾】をご覧ください。

佐藤実氏YouTube【構造塾】
https://www.youtube.com/@user-gc1hn7el3y

【構造塾#22】微動探査セミナー超要約