コラム

2023.11.20

小さな家のデザイン間取り実例と4人家族の住宅実例

小さな家のデザイン間取り実例と4人家族の住宅実例

昔は大きな家を注文することが豊かさの象徴であるような風潮がありましたが、今は「持たない暮らし」という言葉があるように、シンプルでミニマルな思考の人も増え、その思考は住宅そのものや間取り、デザインにも反映されつつあります。小さな家でも豊かに暮らせる間取りの活用方法と、4人家族が注文したコンパクトで省エネな住宅を、建築家設計の実例を用いてご紹介します。

 

小さな家に向いている人とそのメリット

小さな家 建築
単純に建築費や土地費用を抑えたい人だけでなく、共働きで子育て世帯など、とにかく時間に追われている忙しい人にも向いています。例えば、大きな家ですと奥の部屋にしかないものを取りに行く場合、動線距離も長いため当然たくさん移動しなければなりませんし、その分、時間もかかります。

また、これはキッチン、あれはこの部屋と、広いがゆえに様々な場所や部屋を経由しなければ必要なものが必要な時に揃わない、片づけられないということも起こり得ます。小さなお子さんとの暮らしは、想像以上の忙しさ。バタバタしながらの準備はできるなら避けたいものですよね。これは一般的な広さの家も同様です。では、それが小さな家ならどうでしょうか。必然的に動線距離も短くなり、同じことをするにも時間を短縮できるでしょう。

小さな家 時短 家事動線
もし仮に朝の支度で15分短縮できたなら、暮らしに余裕が生まれませんか。自分の暮らしに合った必要なものが入るだけの収納スペースが、必要な場所にあるのであれば、あちこち動き回る必要もなくなるのです。

光熱費 ランニングコスト 省エネ
その他メリットとしては、建築費を抑えられる=税金も抑えられる、ということ。そして狭い土地にも対応できます。また、建築面積が小さいおかげで入居後の光熱費やメンテナンスなどの費用も節約ができますし、体力が心配になる老後を迎えたとしても、愛着のある“我が家”から引っ越しを検討することなく住み続けられるでしょう。

ただ、必要最低限しかない小さな家は、狭そう、窮屈そうと不安を抱く人が大半かと思います。しかし限られた空間で暮らしやすい間取りをただデザインするだけでなく、立地条件や太陽の位置などの自然エネルギーの見極めや、狭さを感じない視覚的工夫も併せて行える建築家に依頼ができると、それらが払拭され、面積以上の開放的空間をつくり出せるのです。デメリットもメリットに変える設計力は、設計士ではなくやはり建築家だと、完成の度に感心させられます。

あとは「使いもしない空間にお金をかけるのであれば、ミニマルな家で効率よく快適に暮らしたい」「性能も譲れないポイント」と考えている人にもとても向いています。

近年、重要視されてきている住宅の性能性。毎日大切な家族と暮らす家だからこそ、冬は暖かく暮らしたいですし、夏は涼しく暮らしたい、そしてもしもの時には家族を守る家となってほしいですよね。先ほども触れた光熱費は、小さな家というだけでもかなり効果を発揮しますが、性能と掛け合わせることにより、さらに省エネ度は増していくんですよ。参考/経済産業省 資源エネルギー庁

すでに性能の重要性もご存じで、マイホームを建てるなら断熱性や気密性、耐震性も確かなものでないと。でも資金が問題…と思う人は、今考えるマイホームの大きさが本当に必要か、この部屋の大きさが本当に必要か、ぜひ見直してみてください。

 

暮らしをデザインしたおすすめ間取り紹介

次では河合工務店の実例を挙げて、小さな家のおすすめの間取りの工夫をご紹介します。

家事動線 間取り
こちらは浴室、洗濯室、クローゼットが一直線になった間取り。家事が楽だということは一目瞭然ですね。マンションやアパートにお住いの方は、現在の間取りと比べてみてください。建て売り住宅の間取りも、こうはなっていないはずです。

これは、今の住宅のここが不満でこんな暮らしがしたい!と思い描いた施主様のための間取りです。洗濯をし、乾太くんで乾燥後、ハンガーパイプに掛けて収納。乾燥機に入れられないものは、手前のカウンター上のホスクリーンへ。必要なものはこのカウンターでアイロン掛けもできるよう、コンセントも備えています。
回遊動線 間取り
そしてこの住宅は、回遊性があるのでリビング側へも一度も立ち止まることなく住宅内を1周することが可能です。ちなみにこの住宅は3人家族で延べ床面積27坪です。

次はキッチン。間取りではないですが、キッチンの形も実は重要なポイントです。
キッチン 小さな家
キッチン 実例
アイランドキッチンへの人気が根強いですが、間取りや動線の選択肢が広がる珍しいⅡ列型のシステムキッチンを配置した間取りもおすすめです。アイランドやペニンシュラにしたいけれど、汚れやすいコンロ周りはあまり見せたくない、という人に向いています。

ちなみにこちらのキッチンは国内最高峰のオーダーキッチンブランド“kitchenhouse”を展開するTJM DESIGNとR+houseが共同開発したオリジナルブランド「mono System kitchen」です。ミニマリズム思想がベースのシンプルながらもしっかりとデザインされたシリーズ。そのデザイン思想は、小さな家を好む人の思考と通ずるものがありますね。

“kitchenhouse”には手が出ないけれど諦めきれない!という人は、ぜひご検討なさってみてください。そしてこの住宅も3人家族で延べ床面積29坪となっています。
 

4人家族が注文した26坪の実例住宅紹介

河合工務店では、平均20坪~30坪で豊かに暮らせる住宅をご提案しています。次は4人家族が注文した26坪の住宅をご紹介したいと思いますが、国が定める住生活基本計画による4人家族での理想の住宅が何坪かご存知ですか?4人家族では、なんと約38坪です。国の定める理想より12坪も抑えた、延べ床面積26坪3LDKの実例住宅がこちらです。

玄関 小さな家 間取り
シューズクロークを合わせた、ゆったりした3帖の玄関。クロークと床材を分けないことで広がりを演出しています。入ってすぐの広々とした空間は、その後の家全体の印象にも繋がります。
リビング 小さな家 狭小住宅
密集地であっても室内全体に光を取り込むことができるよう、LDKは2階となっています。たくさんの光が入るようにしたこともそうですが、そのほか、広いリビングに魅せる方法としてフローリングの向きも考慮しています。
小さな家 建築 間取り
ソファー裏にカウンターを取り付ければ、コンパクトですが機能的な書斎となるようスペースを確保しています。未完成なのは、子供たちのリビング学習が必要になったり、在宅勤務になるかもしれないなど、今後必要になった時にいつでもアレンジができるようにと、設計時から事前に計画しているからです。

キッチン 小さな家
続いてはキッチン。キッチンは白で統一。白は光を反射して明るく広く見せる効果があります。現在、家づくり進行中で、様々な理由から思ったよりキッチンのスペースを確保できなかったという人は、せひキッチンを白で揃えてみてください。

そしてこの住宅は、26坪ですがトイレが2か所です。

トイレ 小さな家 高性能
こちらも白で統一している理由は、もうお分かりですね。

部屋 小さな家
すでに大充実のこの住宅ですが、家族の衣類が入る3.5帖の収納もちゃんとあり、5.5帖の部屋に、3.7帖の部屋は2か所もあります。皆さん驚かれますが、3.7帖の部屋にはダブルベッドが入ります。クローゼットは浴室、洗濯室の近くに配置されているとすれば、寝室は寝ること以外に何をする部屋になったでしょうか。“寝るだけの部屋”になったのであれば、これが必要最低限の十分なサイズなのです。

小さくまとめたこの住宅は、しっかりと性能にもこだわることができた高気密・高断熱・高耐震の「高性能住宅」です。浮いた資金でみなさん賢く家づくりされています。

 

間取りを最適化した小さな家で豊かに暮らそう

小さな家 間取り 建築
小さな家での暮らし、少しだけ想像できましたか?必要な間取りは確保して無駄なスペースは省く、そしてデザインにも性能にもこだわることができるという選択支が広がるなど、メリットがいっぱいと感じています。暮らしやすさを手に入れるために大きな家にすればいい、費用を積めばいいというものではないことはお分かりいただけたのではないでしょうか。

住宅は、家族がいちばん暮らしやすいものであって欲しいといつも願っています。必要なサイズで、必要な暮らしができる人は、必要なものにお金をかけられる賢い人だと思っています。

河合工務店は、一生に一度のお買い物がより素敵でずっとご満足いただけるものとなるよう、建築家を交えてみなさんの家づくりのお手伝いをしています。建築家のサポートをする設計士ではなく、建築家です。たくさんの知識と経験を持った建築家と、賢く家づくりをしたい!と思っていただけたら幸いです。

今後は、今回ご紹介した記事のほか、さまざまなテーマで家づくりに役立つコンテンツを充実させていく予定です。また次回も楽しみにしていてください。


ちなみにこちらの記事の情報は、公式Instagramでもご紹介しています。ぜひご覧になってください。