家づくりの知識

2025.10.01

住宅ローン仮審査について やってはいけない行動

1. 住宅ローン仮審査とは?

住宅ローンの仮審査とは、正式な本審査に進む前の「事前審査」であり、申請者の返済能力や信用度を評価するために行われます。この仮審査に通ることで、購入希望者はローン利用の見通しを得られ、物件購入の準備を進める際の大きな安心材料となります。仮審査での評価は、申請内容が正確で信頼できるかどうかにも大きく依存します。仮審査は慎重に行う必要があり、特に「やってはいけない行動」を避けることが審査通過の鍵です。

住宅ローンの仮審査は、「この物件を買えるかどうか」を判断する最初のステップです。
仮審査に通ることで、売主や不動産会社との交渉もスムーズに進み、購入申込みの際にも信用度が高まります。
つまり「仮審査に通る=購入へのスタートラインに立てる」重要なプロセスなのです。

2. 住宅ローン仮審査の流れと必要書類

仮審査には以下のような流れで進めるのが一般的です。

1. 金融機関の選択:住宅ローンの条件や金利を比較し、自分の条件に合う金融機関を選びます。
2. 必要書類の準備:以下のような書類を揃えます。
– 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
– 収入証明書(源泉徴収票、給与明細など)
– 物件関連書類(物件概要書、不動産売買契約書の写しなど)
3. 申請・提出:金融機関に書類を提出して仮審査を申し込みます。
4. 審査結果の通知:通常1~2週間ほどで結果が通知されます。

仮審査が通れば、本審査に進むことができますが、ここで重要なのは審査中に「やってはいけないこと」を避けることです。次に、具体例を交えながら「やってはいけないこと」を詳しく解説します。

 

3. やってはいけないこと:具体例と対策

金融機関の審査は「数字」だけでなく「申請者の行動」も重視しています。
審査中に信用情報に影響する行動があれば、どれほど年収が高くても通らないことがあります。
そのため、仮審査期間中の行動は慎重にする必要があります。

具体例1:収入の水増し申告

「ボーナスや残業代が安定しているから、少し多めに見積もっても大丈夫だろう」と思って収入を多く見積もってしまうのは避けましょう。

住宅ローンの仮審査では、年収を少しでも多く見せたい気持ちがあるかもしれません。しかし、収入証明書と異なる金額を申告すると、金融機関から「不正確な情報を提供している」と見なされるリスクがあります。特に、残業代やボーナスなど変動のある収入を多く見積もると、金融機関に「収入が安定していないのではないか?」と疑念を抱かれ、審査に悪影響が出ることも。

【対策】
収入は正確に申告し、実際の収入証明書と一致する数値を使いましょう。仮に収入が変動する場合でも、平均的な数値で申告するのが望ましいです。

 

具体例2:短期間に複数のクレジットカードを申し込む

「仮審査が終わったら、新しいクレジットカードも作ろう」と短期間に複数のカードを申し込むと、金融機関にマイナスの印象を与えることがあります。

特に、審査期間中にクレジットカードを複数申し込むと、金融機関は申請者が「急に借入を増やしたい」と見なす可能性が高くなります。このような行動は、信用情報に記録され、住宅ローンの審査で「返済能力に不安がある」と判断されるリスクが上がります。

【対策】
審査期間中は、新しいクレジットカードの発行や高額の借入は避け、安定した信用情報を保つようにしましょう。

 

具体例3:他の借入を隠す

「車のローンがあるけれど、住宅ローンには関係ないだろう」と他の借入を申告しないのは、避けるべき行動です。

車のローンや教育ローン、カードローンなどの借入は、全て申告が必要です。これらを隠して仮審査に臨むと、金融機関は調査を通じて借入状況を確認し、隠蔽と判断する可能性があります。隠された情報があると「信用性が低い」と見なされ、審査に通りにくくなるでしょう。

【対策】
現在の借入は全て正確に申告しましょう。もし、借入額が多い場合は、事前に返済を進めるなどして負債額を減らすことで、審査が通りやすくなります。

 

具体例4:審査中に高額な買い物をする

「仮審査が通ったから、家具や家電を購入しよう」と審査中に高額な買い物をすると、本審査で不利になる可能性があります。

仮審査に通過しても、本審査では改めて申請者の支出状況や返済能力が評価されます。高額な家電や家具をローンで購入すると、返済負担が増えたと判断され、審査に影響を与える場合があります。
例えば、「家具ローン」や「家電ローン」で支出を増やしてしまうと、本審査の結果が変わるリスクが高まります。

【対策】
本審査が完了し、正式な契約が済むまで高額な買い物を控えましょう。特にローンでの購入は避け、家具や家電の購入は契約後にするのが賢明です。

 

具体例5:短期間の転職で収入が変わる

「もっと条件の良い会社が見つかったので、審査中に転職しよう」と思っても注意が必要です。

転職して収入が増えれば良いと考えがちですが、金融機関は収入の安定性も重視します。特に転職して間もない場合、勤続年数が少ないことで安定性に疑問を持たれ、審査に通りにくくなる場合があります。また、転職後の収入が変動すると「返済能力に不安がある」と判断されることもあります。

【対策】
転職を検討している場合は、住宅ローンの審査後、契約が完了してからにしましょう。どうしても転職を先に行いたい場合は、転職後の安定した収入が証明できるまで待つのが望ましいです。

 

具体例6:信用情報に問題があるのに申請する

「過去にクレジットカードの支払いが滞ったことがあるが、住宅ローンには影響しないだろう」と考えていると、審査で不利になる可能性があります。

過去の支払い遅延や債務整理などの履歴は、信用情報機関に一定期間残ります。仮審査では信用情報機関を通じて申請者の信用情報が調査され、過去の延滞などがあれば「返済能力が不十分」と見なされやすくなります。特に、大きな遅延や多額の債務整理がある場合は、審査に通りにくくなることが多いです。

【対策】
仮審査の前に、自身の信用情報を確認しておくことをおすすめします。信用情報機関(CICなど)で確認し、もし問題がある場合は、完済するか、支払い遅延が解消された後に申請するのが望ましいです。

 

具体例7:同時に複数の金融機関に仮審査を申請する

「いくつかの銀行で同時に仮審査を受けてみよう」と考え、複数の金融機関に申し込むのは避けるべき行動です。

仮審査を複数の金融機関に同時に申し込むと、信用情報機関に「複数の借入を希望している」として記録され、金融機関は慎重に審査を進める可能性が高まります。結果として「他の銀行からも借入を考えている」ことがマイナスに影響する場合もあります。

【対策】
金融機関の仮審査は1つに絞って申請し、審査が通らなかった場合に別の銀行に相談するようにしましょう。

 

4. よくある質問(Q&A)

Q1. 仮審査に落ちたら、もう家は買えない?
A. 落ちたからといって、すぐに諦める必要はありません。
 金融機関によって審査基準は異なります。年収や勤続年数、借入状況を整理したうえで、
 別の銀行や住宅ローン専門のアドバイザーに相談することで通るケースもあります。

Q2. 仮審査と本審査では何が違うの?
A. 仮審査は「書類上での確認」が中心で、提出情報の整合性や信用情報を確認します。
 本審査では、金融機関が保証会社と連携し、より詳細に返済能力・勤務先・資産状況などを確認します。

Q3. フラット35の場合も同じ?
A. フラット35は民間の金融機関が窓口ですが、審査は住宅金融支援機構が行います。
 他の銀行とは基準が異なり、勤続年数や雇用形態よりも「返済比率」や「物件の質」を重視する傾向があります。

 

5. まとめ:仮審査での正確な情報提供が重要

住宅ローン仮審査は、購入計画において重要なステップです。審査の際には「やってはいけないこと」を避け、慎重な準備を整えることでスムーズに進む可能性が高まります。

特に重要なポイントとして:

– 収入や借入は正確に申告する。
– 審査期間中の新たな借入やクレジットカード申請は控える。
– 転職や高額な買い物は本審査後に計画する。

これらを守ることで、金融機関に信頼される申請内容を提供でき、仮審査の通過がぐっと近づくでしょう。住宅購入は一生に一度の大きな決断ですから、安心して進めるためにも正確で誠実な対応を心がけましょう。